チェストの材質
チェストは昔から木製が中心です。木は、空気中の湿気を吸いとるという性質を持っており、衣類を湿気から守るチェストの材質として愛用されてきました。現代では、曲がりや変形がないように作った木質材料(木材加工品)も使われています。数ある材質のなかで、桐やラタンなどは、チェストにとりわけぴったりの優れた特性を持っています。
〜ヨーロッパ発祥のチェスト文化と、日本の桐タンスの工芸技術が融合
湿気に強く、防虫効果がある
チェストとして最高の材質といえば、桐です。とくに、シルクや和服などの高価な衣類を収納するには、桐でできたチェストがベストです。その理由は、桐には防湿・防虫という効果があるからです。
日本の伝統
桐は、落葉広葉樹の高木。日本でも、北は北海道から、南は鹿児島に到るまでのいたる所に植栽しています。桐は、日本の木材の中で最も軽く、古来、漁網・魚釣りの浮子や下駄、さらには、刀剣や骨董品、貴重品を収蔵する箱に使われてきました。そこから、「桐箪笥(たんす)」の工芸文化が全国で発展しました。
日本にとって特別な木
桐タンスが日本で広まった理由は、スギやヒノキ、ケヤキなどの一般的に使われる木材に比べて、軽いだけでなく、湿気や熱に強いという特徴があったためです。桐は通気性が良く、湿度を一定に保つため、虫がつきにくく、しかも、燃えにくいです。
日本オリジナル
しかし、桐を木工用材として使う習慣は日本だけで、海外では発展しませんでした。それは、桐が軽くて軟らかいため、日本人ならではの手の器用さと、高度な職人芸がなければ、上手に加工できなかったからだとされています。
日本と欧州の文化が融合
中世ヨーロッパから始まったチェスト文化と、日本の伝統工芸である桐タンスが融合したのが、「桐チェスト」です。ですから、優れた桐チェストを選ぶのであれば、「国産」「日本産」が基本となります。
見た目だけ「桐」ではダメ
防虫など桐の特性を生かすには、チェストの「本体」「引き出し底板」「背板」のそれぞれが桐を用いている必要があります。プリント化粧板や桐シート合板だと、桐ならではの効果は発揮できません。本体に桐の突き板が使われ、さらに、引き出し底板や背板も「天然木桐化粧板」でできていれば、正真正銘の「桐チェスト」といえます。
普遍的な「ぬくもり」
桐チェストの魅力は、機能性だけではありません。その素材感は、和室だけでなく、洋間や子供部屋にもマッチします。子供部屋などで素朴な木の質感を出して、木のあたたかみやぬくもりを演出するのも、賢いコーディネート手法といえるでしょう。
〜部屋を優しくする「南国風」の不思議な魅力
あたたかみのある空間を演出したいなら、ラタンでできたチェストがぴったりです。ラタンは日本語でいえば、籐(とう)。和家具の材質として、1000年以上も昔から愛用されてきました。そして、その籐を愛する日本の文化が、今、チェストという西洋発の家具で花開いています。
ランドリーチェスト
ラタンチェストは、洗面所や脱衣所で使うランドリーチェストにぴったりの材質です。バスタオル、タオル、下着をラタン製のチェストに入れておき、さっと出す。お風呂上がりのさわやかな気分のとき、さっとラタンからバスタオルを取り出すときの心地よさは、ほかには代えがたいものがあります。
夏はさわやか、冬は温かく
ラタンの最大の魅力は、柔らかな風合いです。編み細工ならではの手作りの温かさがあり、自然の感じがにじみ出ます。夏はさわやかに、そして、冬は自然のぬくもりで、空間を優しく包んでくれます。
和洋どちらもOK
ラタンは熱帯・亜熱帯に生育するヤシ科の植物。その種類は300種類以上と言われています。アジアンテイストのラタンですが、和室にも洋室にも調和するのが魅力です。
長持ち
丈夫で長持ちするのもラタンチェストの大きな魅力といえるでしょう。ラタンチェストは、素材がギッシリ詰まってソリッドなのが特徴です。その繊維の方向の引っ張り強度は非常に強く、しなやかで折れにくいです。
お年寄りにも優しい
ラタンはとても軽いので、お年寄りのいる家庭で人気が高いです。キャスター付きのラタンチェストなら、お年寄りでもラクに動かすことができて安心です。
〜水滴に強く、高級感もたっぷり
ワンランク上の化粧板
ポリエステル化粧板とは、基材に化粧紙を貼り、その上にポリエステル樹脂を塗布し乾燥(硬化)させた木質材料です。ポリエステルならではの美しいツヤと光沢があり、汚れやキズにも強いです。通常の木質材料と比べて、ワンランク上のチェスト向け材質として位置付けられています。
洗面所のチェストに最適
ポリエステル化粧繊維板は、水滴に強いという特性があります。このため、洗面所や脱衣所で使うランドリーチェストによく使われます。洗面室や脱衣所では水しぶきがとび、湯気もこもりがち。前板がポリエステルでコーティングしてあれば、水しぶきがあたっても安心です。 |